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【長編小説】君の闇、光へと通ず ~現代異能探偵青春譚~

【第048話】受け入れ難き現実

炎流と水流がぶつかると同時に来栖と倉田は走りだす。

来栖はすかさず、次の炎流を倉田の前方へ向けて放つ。
倉田も水流に乗って炎をかわし、その勢いで来栖へ突っ込んでいく。

倉田が床に降り立ち、振り返ると、黒鉄のドームができ上がっている。

(シェルターで水没を防いだか)

黒鉄が赤みを増し、壁が爆散し、炎を帯びた溶鉄の塊が四方に飛び散る。
倉田は避けつつ、水流をぶつけていく。

炎は消えるが、鉄塊の勢いは止まらない。

(なるほど、相性の悪さを質量と勢いでカバーする。だが……)

倉田は両腕を大きく広げ、力いっぱい掌を合わせる。
巨大な水流が大波となって、来栖へ押し寄せる。

鉄塊は勢いを失い水中へと沈んでいく。
大波はそのまま来栖に襲いかかる。

波の量と速さに防御が間に合わず、水流が来栖に直撃する。
倉田は手を緩めず、即座に凍らせていく。

濃い冷気が辺りを包み込んでいく。

しばらく様子をうかがっていたが、来栖は動かない。
倉田は警戒を解かないまま、足音を響かせて近づいていく。

凍っているが、来栖の瞳がわずかに動いた。
倉田をにらんでいるように見える。
彼は構わず、さらに近づいた。

「さらばだ、鋼の狼。相性が悪かったな」

倉田は来栖とすれ違いざまに何かを呟き、冷気の闇の中へ姿を消した。

*

「何ですって!?」

かおりが声を上げると、結月もそちらを見る。
いつもは落ち着いているかおりから余裕が消えている。

結月の視線に気づいたのか、かおりは口元を手で覆い、背を向ける。

「そんなこと……ええ……ええ……分かった」

電話を切ると、口元を当て、一心に何かを思案している。
やがて目を閉じ、覚悟を決めたように開く。

「結月ちゃん、出かけるわよ」

かおりはテーブルの上に置かれたバッグに手をかける。

「何かあったんですか?」

結月が心配そうに尋ねるが、答える前に、かおりは結月の手を引き、歩み出す。

「あなたのお父さんのことよ」

結月から表情がなくなる。

「考えてる時間はない、とにかく行くわよ」

一階に降りると藍が出てくる。

「どうしたの?」

「警部が救急搬送された。重傷で意識がないらしい。結月ちゃんを連れてくから、後は頼むわ」

藍はうなずくと、結月の冷たい手を取り、両手でギュッと包み込んだ。

「大丈夫。あの堅物は、こんなことでくたばったりしない。でしょ?」

藍がかおりに問いかけると、かおりも大きくうなずいた。

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