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【長編小説】君の闇、光へと通ず ~現代異能探偵青春譚~

【第047話】龍と狼

*

「……田さん、倉田さん」

倉田は眉間に手を当て、瞬きをする。

「すまない……」

「いえ、もう五分ほどで合流地点です」

「分かった」

腕時計に目を落とすと午前四時に差しかかろうとしている。
窓を薄く開け、煙草に火を点けたところで、携帯からアラート音が鳴る。

スマホには地図座標が表示されている。

「どこですか?」

「N2だ、急げ!」

*

到着すると、倉田は車を飛び出していく。
倉庫からは火の手が上がり、轟音も聞こえている。

倉田が掌を開くと見る見るうちに水の塊が大きくなっていく。
彼が拳を力強く振り抜くと、龍のような水流となって、倉庫の扉を打ち破る。

倉庫に入ると炎の熱気が襲いかかる。

彼はひるむことなく、地面に掌を打ち当てる。
すると、目の前の地面から水流が現れ、巨大な波となって倉庫全体へ打ち付ける。

そして、水流を追うように氷が走り、炎の空間は氷の世界に変わる。

倉田は周囲に気を配りつつ、倉庫の奥へと進んでいく。

突如として、斜め前の氷塊が爆発した。
彼は瞬時に後退し、残心を取る。

爆発の蒸気の奥に人影のようなものが見える。

次の瞬間、赤熱した溶鋼の奔流が倉田めがけて突っ込んでくる。
彼は周囲に水流の壁を築き、それを左右へ受け流す。

水流が溶鋼に触れた瞬間、耳をつんざく破裂音が響き、高温の水蒸気が辺りを包み込む。
辺りを見ると、赤い亀裂を走らせた黒鉄の塊が取り囲んでいる。

倉田は床を蹴り、その間隙をすり抜ける。
彼は視線を切らずに、足音がする方をにらむ。

(……お出ましか)

肌を刺すような熱気と闘気。

(鋼の狼)

炎のようにうねる溶鋼を従え、来栖慎が姿を現す。
倉田はわずかに口角を上げる。

「何がおかしい!」

来栖が怒鳴りつけても、倉田はものともしない。

「随分と遅い訪問だと思ってな」

「どの口が、散々引っ掻き回しやがって」

倉田は腕時計を指で叩く。

「こんな時間にどんちゃんしたら近所迷惑だろうが」

「貴様らがいる方が迷惑だ」

倉田は頭をかく。

「警部殿は面白味がないな。そんなんだから、後手に回るんだよ」

炎の波となった溶鋼が倉田に襲いかかる。
彼も足元から水流を立ち上げてそれを避け、二階の通路へ着地する。

ゆっくり立ち上がり、大きく息を吐くと、来栖を見据え、指で手招きする。

「来な、鋼の狼。少し遊んでやるよ」

炎流と水流が激しくぶつかった。

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