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【長編小説】君の闇、光へと通ず ~現代異能探偵青春譚~

【第042話】背中

「僕が?」

倉田は静かにうなずく。

「そうだな……俺も部下たちも、元から裏社会の人間だったわけじゃない。堅気の時に色々あって行き詰まったところをおやじに救われた」

宮城は神妙な面持ちで倉田を見つめている。

「お前は色々やらかしてはいたが、気概は悪くないし、俺たちと違ってやり直せると思った。だから、お前が独り立ちできるまでは真っ当にやろうってな。だが、続けていったら似たような奴らが集まってきて、ここまで続いちまったって訳だ」

「それは、倉田さんの人望と経営手腕ですよ」

倉田は首を横に振る。

「そんなことはない。五年前にお前を取締役にしてからは、ほぼ任せていた。ここ数年の実績はお前の力だ」

「それでも……」

宮城は奥歯を噛み締める。
それを見て、倉田は彼の肩を叩く。

「今のお前は人心への配慮もできる。同じ失敗をすることはないだろう。強い信念と行動力で会社を引っ張っていってくれ」

宮城はしばらくうつむいていたが、表情を引き締め顔を上げる。

「分かりました」

倉田は穏やかに口角を上げる。

「ああ、あとは任せた」

宮城は力強くうなずいた。

「でも、これだけは言わせてください。僕は、倉田さんの想いと作り上げてきたものを受け継いでいきます」

「これからはお前が社長なんだから、お前の好きなようにやればいい」

「ダメです。これだけは譲りません」

倉田は静かに息を吐く。

「好きにしろ」

「ついに、あいつが独り立ちですか……」

隣に座る高村は感慨にふける。

「まあ、もっと早くても良かったんだが。成長していくあいつらと会社を見ているのが楽しくてな」

「俺もですよ。最初はどうなるかと思いましたが」

「そもそも、お前が連れて来たんじゃないか? 公園で声をかけたんだっけか?」

高村は膝を叩く。

「そうでした。今にも死にそうな雰囲気でベンチに座ってたもんで、コーヒーを差し入れて話を聞いてやったんですよ」

倉田は首をかしげる。

「それが全ての始まりだな。普通、声かけないだろ? その後も、うちの奴らは、そんな人間ばっかり連れてきやがって。本当にどうしようかと思ったぜ」

「そうは言いますが、一番熱心に面倒を見てたのは、兄貴じゃないですか?」

「そうですよ~」

運転席からもツッコミが入ると二人は笑い合う。

「みんなよく成長した。今のあいつらなら大丈夫だろ」

「ええ」

「これで一つを除き、憂いはなくなった。あとは、踊り切るだけだな」

車はネオンが輝く幹線道路から暗い路地へと入っていった。

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