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【長編小説】君の闇、光へと通ず ~現代異能探偵青春譚~

【第038話】暗中模索

激しい音と共に扉が開き、防弾ベストを着た二人組が入ってくる。

男たちは周囲に気を配りつつ、手慣れた様子で奥へと進んでいく。
それぞれ、各部屋を用心深く確認し、奥へと向かっていく。

一人の男が、最奥の部屋の扉に手をかける。
鍵がかかっているらしい。

それを見た、もう一人の男が扉のノブに手をかけると、扉の錠は赤く膨れて溶け落ちた。
その瞬間に、男は扉を蹴破る。

ドカドカと中へ入り、辺りを見回すが、人の気配はない。

扉の近くに立っている男が照明を点ける。
それと同時に、奥に入り込んだ男は、テーブルを蹴り飛ばした。

そして、投げやりに無線へと告げる。

「空だ」

しばらくの後、無線から応答が来る。

「了解。待機組も向かいます」

「二名は待機、本部へ連絡と周辺警戒」

そう言うと手袋をはめ、収納を開け始める。

扉近くの白髪男はそれを見るとため息をつく。
彼も部屋の反対側から収納を確認し始める。

扉や引き出しを閉める音だけが室内に響く。

後続の二名も顔を出す。
彼らは奥の方をチラッと見ると手前側にいる白髪男へ寄ってきた。

「雪峰さん……」

「君らは入り口側の部屋から頼む」

二人はホッとした表情でうなずくと足早に部屋を出ていった。
哲也も目の前の収納へと戻る。

奥の方からは、激しく引き出しを閉める音が聞こえていたが、突然止んだ。

「おい」

哲也が奥の男の方へ寄る。
短髪男が一枚の紙切れを差し出す。

「なめてやがる」

短髪男が吐き捨てるように言うと部屋を出ていってしまった。

(これで五件目か)

再度、紙切れに目を落とす。
都心周辺の地名とA~Cまでのアルファベットが羅列されている。

(ゲームのつもりなのか?)

すでに捜査に入った二件と今日踏み込んでいる地名も入っている。
そして、それら地名には“C”と書かれている。

(外れということか?)

紙切れを掴んだ指に力が入る。

「あの~……」

扉から若手の捜査員が声をかける。

「警部は?」

哲也はお手上げのポーズで応える。

「もしかして、また?」

「ああ」

指で挟んだ紙切れを見せる。
若手の捜査員も中へ入ってくる。

「そっちはどうだ?」

「もぬけの殻です。什器の中にも何もないです」

哲也は深く息を吐く。

「いったいどういうつもりなんでしょう?」

「分かれば苦労はしない。律儀にヒントを残していくことも含めて理解不能だ」

「そもそも、ヒントなのかも疑問ですけどね」

(その通りだ。被害は広がっているが、確証のある手がかりがない。この情報にすがっている側面はある)

哲也は腕を組む。

「捜査の方針を見直した方がいいかもしれないな」

「そうですね。ただ……」

若手の捜査員は険しい表情を浮かべる。

「俺に考えがある。警部の方は何とかする」

「すみません……」

「あの人も頑固ではあるが思慮は深い。タイミングを見て話せば分かってくれるはずだ」

「ありがとうございます。この後は?」

「警部と俺は本部に戻って次の準備に入る。谷くんたちは、全部屋を調べたら、鑑識チームに引き渡してくれ」

「了解です」

谷が部屋を出ていくと哲也は一際大きなため息をついた。

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