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【長編小説】君の闇、光へと通ず ~現代異能探偵青春譚~

【第035話】盲点の手がかり

「謎の装置ですか……」

「ああ」

真也のつぶやきにゆかりも応える。

「お前の暴走が起こった場所に埋まっていた」

「……」

「今、あたしたちの方で解析を進めてるところだ」

ゆかりは顔を上げる。

「現時点で分かっていることは、異能の活性を促す作用があるらしいということ」

「それで自分は暴走したと?」

彼女はうなずく。

「ただ、不可解な点も多い。お前たち、異能の“陰陽”は知っているか?」

真也と結月は首を横に振る。
ゆかりが視線を送ると、かおりはうなずく。

「陰陽ってのは、異能の根本的な性質の分類だ。異能血統とも呼ばれてる」

一呼吸おいて、ゆかりは続ける。

「陰は“静”、陽は“動”の異能血統を指す。お前たちの場合だと、真也は陰の性質で、ゆづは陽の性質だ」

真也は顔をしかめる。

「それは、俺が陰キャだから、陰ってことですか?」

「違う。それはたまたまだ。簡単に言うとだな、引き込む性質があるものは陰、引き出す性質があるものは陽だ」

結月がすかさず質問する。

「その性質は分かりましたけど、何が問題なんですか?」

「あの時、あたしたちは何ともなかっただろ?」

「ええ……」

ゆかりは目を閉じ、静かにまぶたを上げる。

「おそらくだが、陰の異能にだけ作用している」

「!」

しばしの沈黙の後、かおりが口を開く。

「異能分野の科学も年々進化している。だが、そうだとしても、陰陽を区別するような高度な技術は聞いたことがない」

彼女は静かに息を吐き出す。

「ああ、その辺の異能者が悪だくみでできる芸当でないことは確かだ」

真也が恐る恐るたずねる。

「組織的ってことですか?」

ゆかりは視線を落とす。

「まあ、そう考えるのが自然だな。だが、ここから先はあたしたちの役目だ」

彼女は鋭い視線で真也を見つめる。

「そこで、何個かお前に確認したい」

彼が自身を指さすと、ゆかりもうなずく。

「あの時、どんな感覚があった? 何でもいい、覚えてることはないか?」

「感覚ですか? う~ん……」

真也は腕を組み、思案する。

「影がざわめく感覚、その後、下の方から熱い感じが突き抜けていくような……そこから後は……すみません」

ゆかりは首を横に振る。

「いや、それだけでも十分だ」

真也はあごに手を当てる。

「どうかしたか?」

「えっと、関係あるかは分からないんですけど、あれ以降同じ夢を見ているような気がするんですよね」

「夢?」

彼はうなずく。

「はっきりとは覚えてないんですけど、あの神社のような建物が出てきて、誰かと話すような……」

ゆかりは考え込む。

「……暗示」

かおりがつぶやくとゆかりも顔を上げる。

「なるほど……そういうことか」

かおりは真也のもとへ行き、彼の手を握り、目を閉じる。

「母さん?」

結月も心配そうに真也を見る。

「……見つけた」

そう言うと何かが書かれた紙を取り出し、彼の胸へと押し当てる。
彼女が言霊を唱えるとその紙はみるみる黒色へと変わっていく。

「吸い出した」

彼女がその紙をテーブルの上に置くと、すかさず、藍が印を切りながら言霊を唱える。

「ふぅ……これで一安心かしら」

「相変わらず、見事な手並みだな……」

大人たちの安堵の横で、その様子を真也と結月は不安そうに見つめていた。

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