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【長編小説】君の闇、光へと通ず ~現代異能探偵青春譚~

【第034話】帰還

まぶたの裏に光を感じる。
真也はゆっくりと目を開ける。

「……」

起き上がり、辺りを見回す。

(帰ってこれたんだ)

結月も目を覚ます。
二人の視線が合うと自然と微笑みが生まれる。

彼女もゆっくりと起き上がる。

「帰ってこれた……」

「おかえり」

真也の言葉に結月は静かにうなずく。

「あなたも」

部屋の扉が開く。

「起きた! かおり、起きたよ!」

藍が入口から叫び、二人へと駆け寄る。

「もう! 心配したんだからね!」

「すみません……何とか帰ってこれました」

藍は穏やかに微笑む。

「よく自力で戻ってこれたわよ。どっちのだったの?」

真也が結月の方を見ると彼女はうつむく。

「彼がいてよかったわね」

かおりも部屋に入ってくる。
そして、二人へ駆け寄ると、真也と結月を両腕に抱えて抱きしめる。

「ただいま」

「ええ、おかえりなさい」

その姿を見守っていた藍がかおりの肩をやさしく叩く。

「それにしても、なかなかお熱いわね、お・ふ・た・り・さ・ん」

真也と結月の手は固く握られている。
二人は赤面して、手をはなす。

「二人して倒れてるし、手は握ってるし」

藍はニヤニヤしながら続ける。

「しかも――」

「あー! ストップ!」

真也があわてて静止する。

「?」

「ふふ、しょうがないなぁ」

「はぁぁ~……」

結月が真也の方を見る。

「何かしたの?」

「えっ? あ~、う~んっと……」

彼は目をそらす。

「何か隠してる」

結月はジトッと真也を見つめる。

「……」

「まあ、いいじゃない? 減るものじゃないんだし?」

「どういうことですか?」

藍がクスッと笑う。

「彼ね、あなたを抱きしめて倒れてたのよ」

結月は一瞬、目を見開くと、真也をにらむ。

「どういうこと?」

「……俺も必死だったんだ」

彼は固く目を閉じ弁明すると藍が助け舟を出す。

「つまり、この子はあなたの心界へ自分で飛び込んでいったのよ」

「えっ?」

真也はそっぽを向く。

「今度はちゃんと守れたみたいね、ナイトさん?」

彼は黙ったままだ。
かおりが静かに息を吐き、手をたたく。

「まずは、診察させて」

「ごめん、そうだったわね」

かおりがうなずく。

「結月ちゃんから見るから、二人は一旦外して」

真也もだまって立ち上がり、扉へと向かう。

「あのさ……ありがとう」

真也は結月の方を向くと穏やかな表情でうなずいた。

その日の夕方。

「まあ、無事でなによりだ」

ゆかりが真也と結月と対面する。

「ご心配をおかけしました」

結月の謝罪にゆかりは首を振る。

「別に責めてるわけじゃない。どうしようもないことだしな」

ゆかりは腕を組み、二人を交互に見る。

「……どうかしたんですか?」

「いや、よく乗り切ったな」

真也と結月は顔を見合わせる。
ゆかりはしばらく思案し、表情を引き締める。

「実は、事件捜査で進展があってな、これから姉御たちに報告するんだが、お前らも聞くか?」

二人はうなずく。

「分かった。じゃあ、リビングに来てくれ。そこで、まとめて話す」

部屋を出ていくゆかりを、真也と結月は神妙な面持ちで見送った。

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