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【長編小説】君の闇、光へと通ず ~現代異能探偵青春譚~

【第024話】巡り巡って

「意外と多いな」

真也は頭をかく。

「駅から歩ける範囲でも七か所。日本人は思ったより信心深いみたい」

結月は小さく息を吐く。

「まるで日本人じゃないみたいな言い方だな」

「日本人であっても、そう思うんじゃない?」

真也は腕を組む。

「まあ、そうか、俺も多いと思ったし」

「でしょ? そんなに神に祈るようなことがあったのかな?」

「昔は未知のものが多かっただろうから、祈らないとやってられなかったんじゃないか?」

「でも、祈ったところで何も変わらない」

結月は淡々と言い放つ。

「う~ん、同感ではあるけど……まあ、自己満足の世界かな」

「自己満足ね……」

彼女は険しい表情を浮かべる。

「っと、こんな議論をしていたら日が暮れる。ルートを決めよう」

結月はうなずくとスマホの画面に目を落とす。

「一先ず、南側から時計回りに行ってみる?」

「うん、そうしよ」

二人は駅前のロータリーから歩き出した。

「次で六つ目か」

「うん、次の路地、左ね」

並んで角を曲がる。

「今のところ戦線異常なし?」

「そうだね」

「次のところが一番でかいんだっけか?」

結月がスマホに視線を落とす。

「うん、地図で見た感じではね、突き当りを右ね」

「了解、なんか森みたいのが見える」

彼女は顔を上げる。

「それが公園かも、その中みたいだから」

真也はうなずき、腕時計に目を落とす。

「……あのさ、一回休憩しない? ちょうど、目の前にコンビニもあるし」

「そうだね、私も温かいのが飲みたい」

真也がポケットから財布を出す。

「オッケー、何が飲みたい?」

「いいよ、自分で出すから」

「これくらい大丈夫だぞ」

「そうじゃなくて、私は貸し借り作るのが嫌なの」

結月は強調する。

「別に貸しになんかしないけど」

「これは私の気持ちの問題だから、気にしないで」

真也はうなずく。

「分かった、じゃあ、各々で」

二人がコンビニに向かおうとすると、見慣れたシルエットが目に入る。

「あっ……」

その人物と目が合う。

「あ゛っ」

一時の沈黙。

「勝手な行動はするなと、あれほど――」

「デートです」

結月が真也の腕を抱く。

「! お前らそんな関係だったのか? じゃあ、しょうがな…..そんなわけあるか!」

ゆかりは拳を握りしめる。

「私たちは神社巡りしてただけです」

「こんな場所でか? 昨日の今日で、それが通じるとでも思ってんのか?」

ゆかりは結月に肉薄する。
しばらくにらみ合って、ゆかりはため息を吐く。

「まあ、いい。お前ら、ちょっと付き合え」

真也と結月は顔を見合わせた。

「“ゆづ”の行動力はあっぱれだが、心臓に悪いから事前に言ってくれ」

三人は、ゆかりが乗ってきた車の中で飲み物をすする。

「俺は?」

「お前はチキンで腰が重いから、こんなことしないだろ」

真也は口を尖らせる。

「ところで、鷲尾さんは何でこんなところに?」

結月が質問する。

「お前らと同じだよ。そもそも、何で彼女の住んでる場所を知ってんだよ?」

ゆかりは眉間を手で押さえる。

「住んでる場所は知らないですけど、出身中学でだいたい分かります」

「じゃあ、この場所にいたのは、たまたま?」

「次に行こうとしてた神社がすぐそこだっただけです。彼女の家、近いんですか?」

ゆかりは一瞬考える素振りをして、小さく息を吐く。

「ああ。家の近くから回ろうと来たところで、お前らと会ったってわけだ。何個か行ったのか?」

「五か所行って、次が六か所目です」

「そんなに回ったのか? おかしなところは?」

「違和感も含めてなかったです」

「そうか……まあ、何事もなくて良かったよ」

彼女は肩をなでおろす。

「もう、この際だ、お前らも一緒に行くか?」

真也と結月はうなずく。

「くれぐれも勝手なことはするな。何か違和感を感じたら、まず、あたしに言え」

ゆかりは念を押す。

「バラけた行動はなし。三人でまとまって動くぞ」

「分かりました」

「よし! じゃあ、行くか」

その掛け声と共に、三人は車を出た。

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